H30年度 3月合宿(前半)
平野です。三月といえばもう春に差し掛かり、にわかに気候も温かく穏やかになってくる季節ではありますが、そんな三月合宿はどうも寒い思いをすることの多い合宿でもありました。
前半の奄美大島では雨と風に、後半の屋久島では標高と雪に。
そうした寒さの洗礼を受けながらの合宿ではあったものの、新歓期間の開始を前に、おおむね楽しくやれたのではないかなとも思います。
それではそんな三月合宿(前半)、奄美大島編。どうぞご覧ください。
3月19日(月)
成田空港+++奄美空港===名瀬局前―――奄美市街地の宿泊施設
南国、ただし背景はどんより。
初日は移動日。
成田から奄美空港まで、ありがたいことに一直線です。
到着後の天気は若干曇天。不安を煽られますが……?
3月20日(火)
奄美市街地の宿泊施設―――港町待合所前===丸畑===湯湾―――湯湾岳公園―――湯湾岳―――奄美フォレストポリス
うなだれる面々。
はい、不安は的中しました。雨です!
この日は湯湾岳を越えて奄美フォレストポリスキャンプ場までという登頂+ローワンの行程でしたが、ローワンの日に雨はメンタルというかテンションに響きます。
山でも嫌がる人は多いですが、個人的には山の雨はまだ風情があると思います……。
街でも傘を差して普通に歩くのならそう嫌いでもない、むしろ好きなんですけれどね。
ひたすらアスファルトの道を登り……
どうにか湯湾岳公園に到着しました。
登山道に入る道に、立派な鳥居。
湯湾岳は奄美群島国定公園の特別保護地区です。
曇天のせいもあって他の人影は少なかったものの、湯湾岳登山道の修繕工事を行っている作業員の方々にお会いしました。
気さくに挨拶を交わしてくださり、こういった方々のお陰で我々は安全な登山を行えているのだなぁと感謝しながら、進みます。
おわかりいただけただろうか。
湯湾の登山中もにわか雨が降ったり止んだりを繰り返しまして(これは奄美大島を抜けるまで延々と続く困った天候なわけですが)、あちこちに水たまりができています。
その中におや、黒い影が……?
途中で遭遇した黒いアンチクショウ、もとい「シリケンイモリ」さん。
黒いトカゲが、オタマジャクシのように水たまりの中を歩いていました。
しかもたくさん。水たまり一つにつき一匹、二匹はいるくらいの数です。
歩いている際にはサンショウウオだサンショウウオだと言っていましたが、これを書きながら調べてみたところおそらく種類は「シリケンイモリ」ですね。
奄美群島と沖縄諸島の湿地に生息していて、雨天の際には移動する姿を見かけられるそうです。
なんと有毒、かの有名なフグ毒テトロドキシン含有です。間違っても食べてはいけない。
そんなこんなもありながら(そこらじゅうの水たまりにいるシリケンイモリを踏まないように四苦八苦しながら)、登頂。登山道自体の距離はそれほど長くはありませんでした。
山頂付近の木道がよく滑るため、雨天時には注意です。
前日宿泊した民宿の女将さんいわく眺望もなかなかのものだそうですが、あいにくの天候のためそれはお預けに。
なんだか色んな神様?が祀られていましたが、
これはわかりました。
『嗚呼 大島開闢 始祖 奄麻美古 志爾禮久 二神降臨之霊地 明治三十七年九月十六日』と書いてあります。
奄美大島に伝わるアマミコ神話によれば、「アマミコノミコト」と「シニレクノミコト」の二神が天から降りてきて国造りをしたそうです。
イザナギイザナミと同じ、日本神話に多い男女一対の構造ですね。
いくつかの島嶼地域にみられるように、奄美大島でもかつては母系社会が支配的でした。
そのためか、「奄美」の字は女神であるアマミコノミコトの「奄」麻「美」古のみを由来とし、男神のシニレクノミコトはあくまで介添えという立場のようです。
湯湾岳は、奄美大島の開祖であるアマミコノミコトとシニレクノミコトを祀る霊山だったわけですね。
少々脱線しましたが、キャンプ地に到着するまでは止まってもいられません。
休憩の後に、早速下山します。
奄美大島らしい、南国の植生。
なんてものを横目に眺めながら進み……。
到着。奄美フォレストポリスは非常に広大な敷地を持っています。
その大半は自然地帯のため、奄美フォレストポリス内を移動するだけでも結構な距離に。
いろいろな施設がありますが、セルフで薪を燃やして五右衛門風呂に入れたりします。
テン場はこんな感じ。雨の日にはありがたいです。
炊事場の近くをお借りしました。
待ち望んだご飯をつくります。
この日はたしか、中華丼でした。美味しかったです。
日が暮れてくると、どこか幻想的なムード。
この日は雨と風が強かったため、大きめの石を探してフライを固定しました。
板場にペグを刺すことはできないため、そこだけご注意を。
3月21日(水)
奄美フォレストポリス―――大棚―――(県道79号)―――大浜入口―――小浜キャンプ場
翌日は道も安全なためまだ暗いうちから行動を開始しましたが、なんと道路上で毒蛇に遭遇しました。サイズや形状などから見て、おそらく事前に行った危険生物講習にも登場した「ヤマカガシ」のようです。
被害事例の少ない大人しい種類ではありますが、毒自体は強力なため油断はできません。
(参考画像・Wikipediaより)
遭遇したものは小型だったため、幼体だったのかもしれません。
暗かったこともあり、講習通り(講習を行ったのも私でしたが)近付いて写真などは撮らずに退散しました。事前の調査はやっぱり大事。
それからも歩き……
明るくなってきた頃には海も。
トンネルを抜け。
街を越え。
もう一本抜けて。
海沿いを歩き。
(武田君ばかりが映っているのは隊列の都合上です)
この辺りで鹿児島県県鳥の「ルリカケス」にも出会いました。
首回りの色合いが特徴的でした。
山間を登ったり下りたりし。
おや? 天候のようすが……。
ようやく機嫌を直してくれました。
一時的ではありましたが、この辺りは奄美のベストショットたちです。
奄美海洋展示館にて受付を行い。
小浜キャンプ場に到着!
小浜キャンプ場内のテラスより。
奄美はやっぱり海が綺麗ですね。
3月22日(木)
小浜キャンプ場―――小宿―――奄美中央林道―――金作原林道―――鍋又===塩浜―――名瀬港~~~鹿児島本港北埠頭(翌8:30着)
この日で三日間の奄美大島ローワンは最終日。
奄美群島のみならず、鹿児島の景勝地として名高い金作原林道(原生林)を通過します。
世界自然遺産に指定される日も目前だとのこと。期待です。
林道に入るまでの詳細は特にないのでカット。
歩く時の何時間かもカットできたら……!(失言)
四国ローワンなんかは晴れていたのもあって思い出深いんですが。
ガードレールのヘコみは倒木じゃないかと推測。
土砂崩れ等はそれなりにあるようです。
案内板を発見し喜ぶ遭難者、もといメンバーたち。
奄美中央林道のうち、金作原林道へは知名瀬林道から向かいました。
この看板から大体一本ちょっとです。
金作原林道(金作原原生林)は保護地域のため車の乗り入れ禁止。
保護関係者車両のみがたまに細い道を走っています。
落ち込んでません。雨なんです。
この日も朝から時たま降る雨が、五分ほどで止んではまた降っていました。
対策をした途端に止んで暑くなる神様の悪戯、難敵ですね。
いくつかの樹にはこうした説明板が。
なかなかのジュラシック・パーク感でした。
パークの遭難者たちは原生林を脱出し……(調べ物中)。
無事文明圏へと生還を果たしました。
さらば永遠に……。(つづく)
奄美大島は天候のみ恵まれませんでしたが、原生林の南国らしい植生が楽しめました。
お次は(揺れまくる)夜越し大型フェリーで鹿児島を経由してからの、屋久島縦走です。
矢野さん、どうぞ。
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