H29年度 夏合宿(台湾班) 玉山編

どうも、平野です。
渡辺さんに要請されて部員ブログでちょっとしたことを頑張ってみたものの、やり終えてから急に恥ずかしくなってきました。今後もぜひその辺りの全責任は渡辺さんに献上していきたいと思います。

今回は久しぶりの海外遠征。前回のアメリカ遠征から、実に10年ぶりだそうです。
OBの皆様や今回PLを務めていただいた最上級生の遠藤さんにとっても数年越しの計画だったそうで、波乱万丈ながらも無事全行程を終えられてとても良かったです。

波乱万丈とは? 
すなわち天候、入山規制、高山病、体調、交通、食事その他諸々。

部員の多くにとって初の海外というのもさることながら、数々の予想外の出来事が台湾班の夏合宿では現れてきました。

しかし我々には海外経験の豊富な遠藤PLをはじめ、語学の魔術師石川さん、プロテインマスター渡辺さん、パーミッション担当古閑&矢野、中国語選択の五十嵐、猿をも恐れぬ佐藤、一応台湾は二度目の平野(筆者)など優秀な人材が揃っています。

そんな私達が夏合宿にて乗り越えてきたアクシデントと、その先で得られた成果を、ここでお伝えしていきたいと思います。
ではどうぞ。


8月20日(日)
大学ー飯田橋ー(鉄路)ー羽田空港国際線ターミナル

初日は移動日です。
翌日の飛行機が早朝の便ということもあり、夜のうちに羽田空港へ移動し空港内で夜を明かします。

出発前に集合写真。武田君、小学生じゃないんだから……(呆れ)

日曜なので、電車は比較的空いていました。

前に来た時よりも進化している羽田空港。

しかし、仮眠室はない。何故。

この日は眠れなかった……。全員一晩中ゴソゴソしたり、寝るのを諦めてスマホ充電コーナーに向かったりしていました。

夜食のフランスパンをもぐもぐする五十嵐さん


8月21日(月)
羽田空港ー(空路)ー桃園空港ー(MRT)ー台北



6:30発の便に乗り、いざ台湾へ出発です。
飛行機の離陸後は前日眠れなかったこともあり、皆それぞれ睡眠を取っていました。

雲海が綺麗。富士山でしょうか?

台湾上空へ。

着陸!

桃園国際空港にて、まずは現地のSIMカードと貨幣を手に入れます。
短期SIMカードを購入すれば、台湾でも変わらずスマートフォンを使用できます。



台湾の桃園(タォユェン)空港に到着してからは、台湾のメトロ鉄道であるMRTに乗って台北のゲストハウスへ向かいます。

台湾のICカード「EASY CARD」。
私達は団体割引を使うため利用しませんでしたが、
個人ならこれがあるとだいぶ割引され、バスでも電車でも便利だそうです。

MRT路線図。

調べる遠藤PL。寝る古閑。ワクワクの一年生。

台湾の首都、台北の都市部にやってきました。

この日の主な予定は、
・登山用品店での買い出し
・下調べ
の二つ。

登山用品店に向かいます。

調べて見つけた登山用品店の品揃えは中々のもの。

日本の同じ規模の店舗と比べれば、かなりの充実度ではないでしょうか。
必要なら、ここで登山用具一式を揃えられるほどです。
しかも、台北市内に登山用品店はいくつか見受けられました。

無事登山用品店でガスの購入を済ませました。
私たちが行った登山友というお店ではスノーピークのガス(大、PRIMUSの500缶と同じくらい)が340台湾ドル、日本では見ないブランドのCAMPING ACEというものが160台湾ドルでした。
両方購入しましたが、私たちのプリムススパイダーではCAMPING ACEが時々うまく使えず、火力を大きくすると消えてしまうことがありました。スノピは問題なし。
ちなみに、現地の人はほとんどCAMPING ACEでした。なお、余ったガスは最後にひきとってもらいました。

……しかし、なんと。
この日の夜に台風による阿里山への入山規制(立ち入り禁止)が発覚。
遠藤さんが電話をするものの「高確率で無理」と言われる。
さらに、翌日夜に予約をしていたふもとにある宿泊施設の東埔山荘にも立ち入り禁止だからとキャンセルされてしまった…
※ちなみに、東埔山荘は中国語が話せないと予約できないです。法政大学にいらっしゃる方に通訳をしていただきました。ありがとうございました。


8月22日(火)
高鐵台北ー(高鐵)ー高鐵嘉義ー(バス)ー阿里山

もともと台風13号の接近は予報されてはいたものの、台湾の端をかする程度の影響圏のため入山には大きな影響が出ないだろいうという見込みでした。

しかし台湾当局はその辺りの規制には厳格なようです。
後に体験した豪雨のすさまじさからして、それも無理からぬことだと思います。

しかし心配ばかりしていても、入山口の阿里山まで行かねば入山できる可能性はゼロ。
最悪の場合阿里山観光だけして帰ろうか……などと悲壮な会話を交わしながらも、台湾新幹線「高鐵」(高速鉄道)に乗って移動します。


台湾全図。
真上にあるのが台北で、左の真ん中少し下にあるのが嘉義駅。
ちなみに雪山に近い宜蘭(イーラン)は右上です。
バス乗り場は宜蘭駅を出てすぐのところにあります。バス代金はICカードか、現金(釣りなし)
宜蘭駅にはインフォメーションがあったのでわからなければそこで聞けると思います。


曲がりくねる長い山道と運転に、佐藤君が酔いの片鱗を見せる。

到着したバス駅。霧が濃い。

中にはバスの運行予定表も掲示されていました。(2016/08/22時点)

バスを降りると、阿里山国立公園の入り口があります。森林鉄道やホテルやコンビニはこの中です。
ちなみに、再入場は日付またいでも無料でした。
入山規制はここに対してではなく、全く別の場所にある登山者用の入山手続き管理所にて実施されているものです。

窓口の方が「登れるといいね(英語)」と励ましてくれたりも。

入山規制がかかっておりふもとに行くバスも運休。もう下界で泊まるしかありません。
本来ならば東埔山荘に泊まる予定だったので予約はありませんでしたが、なんとか泊まることができました。
目の前にセブンイレブンまで完備された位置取りで、まずは一安心です。

関門の少し先にある「力行山荘」。名前は山荘だが、中身はホテル。
シャワーとトイレは同じ部屋にあるが、それ以外は立地を鑑みるとかなり良い。
大きなベッドはとても寝心地が良く、広く快適でテレビまである。

ただし、朝九時までチェックアウトできないのにはご用心。(事前に言っておけばできるみたいです)

セブンはとても便利。ただし定番商品の煮卵が少々匂う。

そのあとは阿里山ビジターセンターの方に登山について話を聞きに行きました。
翌日規制が解除された場合はタクシーで行くしかないので、タクシーの電話番号も教えてもらいました。また、玉山入山管理局の人に電話をしてもらいましたが「やっぱ無理そう」とのこと…

遠藤PLが公式HPを狂ったようにリロードし続けた結果、21時頃更新され、入山許可が解除!!
常に諦めずに当局の公式サイトをチェックしていた遠藤PLあっての賜物でした。
さすが遠藤さんです。さすえん!(語呂が微妙)
日本語や英語のホームページが変わったのは2日後でした。これに限らず、最新情報は中国語のホームページを見るべきだと感じました。


8月23日(水)
阿里山ー(タクシー)ー塔塔加登山口ー排雲山荘

阿里山のホテルから登山口へ。
9時までチェックアウトができないのでじりじりと待ち、

猫を眺めて待つ。可愛い。

大型タクシーなどで登山口へ。
大型タクシーの運転手さんは、実に見事にアタックザックを詰め込んでいました。

この地図だと真下のルート。実際に歩くのは登山口から。

入山管理所にて、矢野さんが三ヶ月前からとっておいた
パーミッション(入山許可)の直接手続きを完了させて一安心。

玉山登山口。ガスの合間に見える青空も喜ばしい。

おやあぶない人、と思ったら部員でした。

この地図では右に進むルート。
「排雲山荘」が本日のゴールです。

それではいざ行かん、台湾最高峰。

山頂付近を除き、道はかなり整備されています。

登りやすい。

休憩も取りつつ進みます。
(孟禄亭)

パッと見は怖いものの、山を歩き慣れた人なら問題ないでしょう。
ただし、少々道幅が狭い。

さて、ここで頼れる案内鳥を紹介しましょう。
キジ!

休憩所には……

ホシガラス!

玉山は阿里山国立公園の一部であり、自然保護が行われています。
鳥類をはじめ、様々な動植物と出会うことができます。しかも距離が近い。

この日はやはり直前まで入山規制がかかっていたため、前日からの下山者以外はほとんど他の登山者とすれ違う事はありませんでした。

歩けや歩け。

ちょっとした屏風岩(私は行ったことありませんが)っぽい一枚岩の横も抜け。


到着!3402メートル!


排雲山荘は玉山登頂の際の数少ない宿泊地という事もあり、収容人数は百人前後と大きな施設です。
しかし、今日は前述の規制により20人と少し程度。
少し寂しいものの、落ち着いて眠ることができます。

夕飯は…皆大好き、大塚食品のボンカレーです!
吉原会長差し入れをいただき、ありがとうございます。

……と思いきや、思わぬサプライズが!
この日は天候不順により食事が余った山荘の管理人さん方がご厚意で料理を分けてくれることに。

この他にも色々。スープの具材はわかめ。

野菜やスープなどを分けていただき、貴重な栄養源をありがたく頂きます。

若干高山病の気配があった五十嵐さんは高山病対策のダイアモックスを飲みました。
テント泊は極めてマイナーなようで、郷に入れば郷に従えということで小屋泊です。贅沢にも天井のある中で就寝します。


8月24日(木)
俳雲山荘ー玉山主峰ー塔塔加登山口ー上東埔ー(タクシー)ー阿里山

2時起床。ご来光目当ての人が多く、大体の人がもう起きていました。


睡眠不足と高山病により出発前から筆者平野は気分が瀕死ですが、これもまた登山。
やはり高山で、半分くらいのメンバーは、万全の体調とはいかなかったように思えます。
全員自分の体調とよく相談し、きちんと事故なく下山できると判断して出発しました。

日の出の少し前に出発。まだ暗い。

同じ登山道を通って下山するため、ピストンが可能。
排雲山荘に余分な荷物をデポし、最低限の軽装で登頂を目指します。

案内板。

割れやすく崩れやすい岩場。

台湾は気温と気候の関係で(地理学科タケダ・イガラシ談)森林限界の標高が高く樹林帯が続くものの、頂上付近ではさすがに岩場となります。

当然ながら日本の平均的な山と比べると険しく、板状に割れやすい性質を持った岩が多いため足元や掴む場所にも注意が必要です。

危険個所対策にはこんな設備も。

それぞれの要素はさほど難しいものではないものの、高山病と合わさると中々きつい。
根性、などと言うと昨今はあまりよくなさそうなので、これまでに培った技術と経験を活かして登ります。……でもやっぱり、気合と根性も大事ですね。
   
マウントジェード・メインピーク。
3952メートル。

台湾最高峰。
ニイタカヤマノボレ、を果たしました。 

どうにか、登頂!
その場のメンバー全員が最高到達標高を更新しました。

しかしこの時は涙が出るほど寒かったです。まず氷点下近い。
下界に降りれば南国なのに、山頂は極寒。しかも霧。
台湾最高峰という称号だけを頼りに達成感を確かめます。

この情けなくも栄えある雄姿。
エールをしている時が一番体育会である実感が湧きます。

ところで、海外では他国の山での山行に国旗を持って登頂するのはわりとメジャーなようです。日本でも海外の方がたまにやっているとか。
山頂には何人か登山者の姿がありましたが、見覚えのない国旗を体に巻きつけて写真を撮っていました。後から考えると、ボリビアやベネズエラ国旗辺りに似ていたような気も?

というわけで、この方も。
大きめの国旗も持参してきました。

下山に移ります。

シカ発見!日本のものより黒くて大きいです。
実は玉山のシカは物凄く珍しく、
三十年登っても一度も見れないほどの神秘的な存在だとか。

排雲山荘にて装備を回収したため、全装で下っています。

この日はすれ違う登山者の数もかなり増え、北京語や英語で挨拶してくれます。
こちらはニーハオやハロー、こんにちはなど返していたが、渡辺さんが国旗をザックに差すとこんにちはと言ってくれる率が格段に上がりました。おそるべし国旗。

しかも挨拶レベルなら日本語がわかる人が多く、またとてもいい笑顔だったり「ガンバッテ」「ジャイヨー(北京語で「がんばって」」などと言ってくれます。日本語を勉強しているという娘と両親の家族の方にも出会いました。


心温まりながら、霧の晴れた玉山の景色も満喫しつつ下山します。
帰りは公共交通機関が無いのでタクシーに乗りました。ただ、1台1200台湾ドルと高いし、予約が取りにくいので公共交通機関で雪山に向かう場合は日月に向かうのがいいですよ。

この日はまた阿里山の力行山荘に泊まり、次の日に台北に戻ります。


8月25日(金)
阿里山ー(バス)ー台鐵嘉義ー(台鐵)ー台鐵宜蘭

この日は移動日です。
阿里山からまた揺られながら台鐵嘉義駅へ。
確かこのバスは充電までできるスグレモノでした。



嘉義から宜蘭(イーラン)までは列車を乗り継ぎ丸一日かけて移動することになり、大変疲れました。
ちなみに地理と電車とその他に詳しい五十嵐さん曰く(何でも詳しいな君は)、この日乗った車両はどれもディーゼル車だそう。
MRTは電気駆動だったので、台北市内と西側の主要路線のみ電気化しているようです。

乗り継ぐこと三度、切符も三枚。およそ六時間。
山行とは違う意味できつかったです。

そして到着、「行口文旅」。

雪山前後の宜蘭では「行口文旅」というホテルに宿泊します。
テントが恋し……いや、うん。コイシイデス。


8月26日(土)

この日は停滞日でした。
服をランドリーで洗濯したり、買い出しをして過ごします。

晴れ渡る青空。

今合宿で一番品揃えと値段がよかった台湾のスーパー。
行口文旅のすぐ近くにある。

これにて玉山の行程は終了。後半に続きます。


P.S.西表島の記事について写真の順番がいくつか間違っていて参考にできないと渡辺さんにお叱りを受けたため、今回は実用的な内容も増やしてみました。
地図やバスの運行表などは、変わらない限りは参考にできると思われます。
台湾玉山の登頂、台湾観光を考える方のお役に立てば幸いです。

コメント

このブログの人気の投稿

R4 黒部峡谷・後立山連峰個人合宿①

R4 黒部峡谷・後立山連峰個人合宿②

R4 自転車秋個人合宿